


マイホームを買ったときにかかる税金は数が多く、それに対する軽減措置や特例も豊富ですが、ことリフォームに関しては目玉になるような特例はありませんでした。住宅ローン控除の増改築版くらいでしょう。これに対して、ここ3年間に立て続けにリフォーム関連の新たな税制が誕生しています。
2006年税制改正で登場した「耐震改修促進税制」、07年の「バリアフリー改修促進税制」、そして08年の「省エネ改修促進税制」です。
それぞれ特定のリフォーム工事を行うと、固定資産税の軽減と所得税の税額控除が受けられます(各工事の詳細については省略)。まず固定資産税に関わる内容について解説しましょう。

図1をご覧ください。減額される割合、期間、適用される住宅の条件を一覧にしています。3つの改修促進税制は、似ているようで微妙に違いがあることに注意しましょう。
まず、1戸当たりの減額割合は、「耐震改修」が税額の2分の1と一番多くなっています。「バリアフリー」と「省エネ」はいずれも3分の1の減額ですが、対象となる床面積が違います。
減額される期間も「耐震改修」が長くなります。ただし、工事を始める時期によって期間が変わり、早く実施するほど得するしくみ。来年末までに工事をすれば最長3年間の減額を受けられます。2010年〜12年末までの工事が2年間、2013〜15年末の工事では1年間しか減額されません。
「バリアフリー」と「省エネ」は、いずれも工事を行った翌年度の1年間のみ。工事期間も2年後の10年3月末までに制限されています。
工事費については、すべて1戸当たり30万円以上と共通しています。
どのタイプのリフォーム工事を先に実行するか迷っているなら、まず「耐震改修」を優先させるとよいかもしれませんね。なお、同時に複数の工事を行う場合ですが、税制として併用できるのは「バリアフリー」と「省エネ」の2つ。「耐震改修」の併用はできません。また、新築住宅を取得した場合に3〜5年間の減額特例もありますが、この適用を受けている間は、いずれの減額も受けられないことに注意してください。
上記3つの税制には、所得税の税額控除も設けられています。固定資産税の減額については、工事のリミットまで数年以上の余裕がありますが、所得税に関しては3つの税制ともに今年中に工事をして居住することが条件。ほとんど余裕はありません。
来年度の税制改正で期限が延長される可能性もありますが、現時点では不明です。リフォーム計画を持っているなら早めに進行させておいたほうが無難でしょう。
所得税の税額控除としては、「耐震改修」だけ仕組みが違います。具体的には、耐震改修工事にかかった費用の10%が税額から控除されるというもの。100万円なら10万円分の所得税が戻ってきます。ただし、20万円が上限ですから、200万円を超える工事をしても、20万円以上の控除は受けられません。控除期間も1年間のみです。
また、この税制が適用されるのは、自治体が耐震改修の補助制度を設けており、その対象となる地域に限られます。
これに対して「バリアフリー」と「省エネ」は利用地域の制限はなく、内容もほぼ同じ(図2参照)。というのも、既存の住宅ローン控除のバリエーションとして位置づけられているからです。正式名称は「特定増改築等住宅借入金等特別控除」といいます。この「特定増改築」の中味が、バリアフリーか省エネかの違いによって分かれるわけです。

借入金残高の一定割合が所得税から控除されるという基本的なしくみは、既存の住宅ローン控除と同様です。違うのは控除率、控除期間、控除額など。住宅ローン控除も昨年から10年控除と15年控除の2種類になりました。そのため、バリアフリーか省エネの工事を予定している場合、それぞれの改修促進税制と、2タイプの住宅ローン控除という合計3つの税制から選択する形になります。
固定資産税については「バリアフリー」と「省エネ」の2つの改修促進税制を併用できましたが、所得税については併用できません。
なお、「バリアフリー」については、工事の発注者が、50歳以上または要介護・要支援認定か障害者の場合、もしくは65歳以上の親族、要介護・要支援者、障害者と同居するなどの条件があります。
さて、住宅ローン控除と改修促進税制を選択する場合、どのように比較すればいいのでしょうか。
ポイントの1は、工事金額です。住宅ローン控除は100万円超、改修促進税制は30万円超となっていますので、30万円超100万円以下の場合、改修促進税制が自動的に候補となります。
次に、借り入れるリフォーム・ローンの返済期間。住宅ローン控除は10年以上、改修促進税制は5年以上ですから、5年以上10年未満の場合は、やはり改修促進税制しかありません。

工事費が100万円超、ローン返済期間が10年以上の場合に選択となります。その際のポイントは控除率と控除期間。それぞれの特徴を簡略化して示すと、改修促進税制は「控除率が高くて控除期間が短い」タイプ、住宅ローン控除は「控除率が低めで控除期間が長い」タイプです。
これに工事金額を組み合わせると、ある程度の傾向が出てきます。図3をご覧ください。
工事金額が200〜300万円までの比較的小規模なリフォームの場合は、短期間で高い控除を受けられる改修促進税制が有利(図3-1)。一方、それ以上の金額になると、長期間に渡って控除が続く住宅ローン控除がトータルで得になります。特に1200万円を超える大型のリフォームでは、当初5年間だけで比べてみても、住宅ローン控除が有利です。
この他に、年収や年齢(定年までの期間)によって、実際の控除額に変化が出ます。詳しくは、本コーナーのバックナンバー「税務講座2008/省エネ改修の税額控除は、どれがおトク?」および「税務講座2007/バリアフリーのリフォームは、どっちがおトク?」を参照してください。
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