

リバースモーゲージといえば、自治体が福祉政策的に行うタイプか、信託銀行などの富裕層向けか、そのどちらかが一般的でした。ここ数年で、その常識が変わりつつあります。民間金融機関やハウスメーカーが新しいタイプのリバースモーゲージを提供し始めたからです。

そもそもリバースモーゲージというのは、自宅などの資産を担保に資金を借り入れながら、生きている間は返済が据え置かれ、利用者が亡くなった時に自宅を処分して一括返済するタイプのローンのこと(図1参照)。
日々の暮らしに経済的なゆとりのない高齢者などが、自宅を手放さずに余裕資金を産み出せる仕組みです。
住宅を持つために最初に大きな借り入れをして、毎月返して行き、返済完了すると完全な所有権を手にすることができるのが、通常の住宅ローン。「一般抵当融資」とか「フォワード(前進)・モーゲージ(抵当)」と呼ばれます。
不動産を既に所有している人が、それを担保に少しずつ資金を借りて、最終的に返済が終わると所有権がなくなるという、住宅ローンと逆方向に進むことから「リバース(逆・反対)・モーゲージ」と呼ばれるわけです。

リバースモーゲージは、大きく公的タイプと民間タイプに分かれます。
1981年、30年近く前に、国内で一番初めに導入したのが東京都武蔵野市。行政が有償で行う福祉サービスや生活資金を融資するのが目的です。自治体によるリバースモーゲージは、その後しばらく大都市圏の一部に限られていましたが、2002年からは国が音頭を取って「長期生活支援資金貸付制度」をスタート。全国に広がっています。
当初は、住民税の非課税になるレベルの低所得世帯が対象でしたが、今年度から生活保護世帯を対象にした新タイプも登場しました。いずれにしても、持ち家でありながら、日々の生活費が乏しい低所得者向けです。
一方、民間によるタイプは、バブル時代に信託銀行などが担い手になって登場しました。ただ、不動産の担保評価額が最低1〜2億円以上に設定されるなど、富裕層向けの扱い。バブル崩壊で資産価値が下がり、契約が成立しない状態になって休止や廃止になっていました。
新しいタイプが登場し始めたのは2〜3年前から。民間タイプも、ハウスメーカー系と銀行系という2つのパターンに分かれます。
ハウスメーカー系は、ハウスメーカーが自社の商品オーナー向けに実施しているもの。2004年からスタートした旭化成ホームズやトヨタホームが代表的です。
ユニークなのは旭化成ホームズの「REMOVE」。トヨタホームズの場合、公的タイプと同様に資金の使用使途は生活資金が原則です。これに対して旭化成ホームズでは、自宅を貸して住み替えるための資金に使えます。
住み替え先は、持ち家でも賃貸でも、高齢者施設でもかまいません。まとまった資金をリバースモーゲージで借りて、購入費や賃貸入居の一時金に充当できるのです。また、同社のグループ企業が自宅を一括借り上げして賃貸に回し、その賃料から経費や利子を控除した金額を定期的に受け取ることもできます。資金の使用使途は、旅行や趣味など、自由です。
ハウスメーカー系では後発ですが、昨年から積水ハウスでも、りそな銀行と提携して取り扱いを始めました。内容も他とは違います。同社のグループ企業が請け負う建て替えやリフォームに対する融資が基本。通常の住宅ローンと同じように元利均等で毎月返済をすることもできますし、終身借り入れで亡くなった時に一括返済をするリバースモーゲージ型の返済もできるという仕組み。建て替え後に必要な資金を随時借り入れることも可能です。
ハウスメーカー系の場合は、あくまでも顧客サービスの一環という意味合いがあり、利用者も限られます。それに対して銀行系は、建物のメーカーを問わず、広く利用できるのがメリット。資金の使途も自由です。中央三井信託銀行と東京スター銀行が知られています。
中央三井信託銀行のリバースモーゲージは、2005年にスタートした当初は、対象となる不動産の担保評価額が1億円以上と高額でしたが、徐々にハードルを下げ、現在は4000万円以上と利用しやすいレベルになりました。資金の借り入れパターンも、カードローンを利用した随時借り入れ、年金型の定期借り入れ、一時増額など、バリエーションがあります(年齢制限あり)。
一方、東京スター銀行の「充実人生」は、担保評価額の制限がありません。評価額に応じた融資制限が設定されています。また、中央三井信託銀行では元金と利子の両方の返済が据え置かれ、亡くなった時に元利金を一括返済する方式ですが、「充実人生」は元金返済のみが据え置かれ、利子は毎月返済する方式。ただ、同行の「預金連動型」と組み合わせることで、預金の利息と借入金の利子を相殺して負担を減らすこともできます。
持ち家なのに生活を切りつめて豊かさを実感できないのでは、どこか矛盾を感じませんか。最近の新しいリバースモーゲージのメリットを活かして、ゆとりある暮らしを実現してみてはいかがでしょうか。

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